ジョー小泉のひとりごと 2021年12月


ダンネバード

ダンネバード

 プール通いをしていると、いろんな人たちと会う。先日はネパール人の兄弟と知り合いになった。

 日曜の朝だ。彫りの深い顔だちをした外国人の少年ふたりと脱衣場で出会った。ふたりは楽しそうに話している。

 「何語を話しているんだ?」と笑顔で問いかけた。年長の方(多分15歳くらいで、他方は10歳くらいか)が、「ネパール語だよ」と流暢な日本語で答えた。

 私は戦後の神戸生まれで、子供の頃から街路で外国人をよく見かけ、ときに話しかけられたり、話しかけることが多々あった。

 「ありがとうって、ネパール語で何ていうんだ?」と訊くと、「ダンネバード」と教えてくれた。

 「この紙にそれを書いてよ」というと、背の高い方の少年は紙に目を近づけながら書いてくれた。「じゃ、アルファベットでなく、ネパール語の文字で書いてみて」とまた頼んだ。

 少年は私には見慣れぬ文字でそれを書いてくれた。
 私が「ダンネバード」というと、彼らは笑った。

 「兄弟かい?」
 ふたりは頷(うなづ)いた。
 彼らはプールからあがり着替えるところで、私はこれから泳ぐところだ。

 「またお出でよね。このプールはみんな親切だから」といって、お互い笑顔で別れた。