ジョー小泉のひとりごと 2020年6月


つんどく家の開き直り 「工学における数学的方法」

2週間に1度、大学時代の工学部機械科同窓生でオンライン飲み会をしている。参加者は5名程度だが、話していると若い頃を思い出して楽しい。

私がこの前、提案した。
「ただ喋って酒を飲むだけではマンネリになる。どうだろう、ローテーションで誰かMCを決めて何かのテーマで話し、それについて質疑応答をするというのは。言い出しっぺだから、最初は私が今回の新型コロナウイルス感染の第2波、第3波の統計的可能性について話したい」と。

この提案は受け入れられたが、「20分というのは長すぎる」として10分くらいにしてほしい、と言われた。了解。

感染者数、あるいは死者数は正規分布のようなひとつの山で終わるか、それとも波動のように第2、第3の波が予測されるか。それを100年前のスペイン風邪を例にとり、スピーチをした。オンライン飲み会の前、4頁の資料をメールで送り、気が向いたら読んでおいてほしい、と依頼した。

その際、私の後ろの本棚を見て、「最近、どんな本を読んでいるんだ?」とKが訊いたので、最近読んで面白かった本を5冊ばかり紹介した。

そして、みんなに見せたのが、「工学における数学的方法」だ。みんな学生時代、輪読で読んだ本で、読んだのは英文のコピーだった。「それをAMAZONでアメリカから原本をより寄せた。送料を入れて79ドルだった」というと、場が白けた。みんな学生時代の授業を思い出したくないのかな。

コロナ自粛の間、理科系の本、特に統計にかかわる本を整理して本棚にまとめた。

統計でウソをつく法(ブルーバックス)
偶然の統計学(早川書房)
勝負の統計学(ブルーバックス)
など。

将来、隠居生活に入ったら、書道と水墨画だけでなく、理科系の本(昔習った教科書)を読み返すのも悪くない。

社会人が専門外なのに数学の本を読むという例を想い出した。司馬遼太郎の「ひとびとの跫音(あしおと)」の主人公、正岡忠三郎が病床に臥し、見舞いに来た奥さんに数学の本を買ってくるよう頼む。彼女は上下巻のうち、上だけを届けに来て、忠三郎を立腹させる。

なぜ上下とも買ってこないのか、と。そこで、奥方は謝るのだが、その理由が分かるような気がする。理系の本は購買者が限定されるので元を取るため値段が高い。上を読み終わってから下をまた買えばいい、と彼女は合理的に考えたのだろう。だが、忠三郎は俺の知的向上心、読書欲をバカにするのか、と怒ったわけだ。

司馬遼太郎の本の中で、この「ひとびとの跫音」がいちばん好きだ。「竜馬が行く」や「坂の上の雲」を再読したいとは思わないが、「ひとびとの跫音」はもう3度読んでいる。忠三郎は正岡子規の家に養子に行くのだが、養母にあたる子規の妹、律との確執がよく描かれている。

病床の子規に尽くしたあと、律は学校に行き直し、のちに大学の家政科の先生になる。律の頑固さは子規に通じるものがあり、この本の中に子規は登場しないのだが、その影は投げかけられている。

正岡子規が好きで、その伝記はかなり読んだ。いつかひとつの棚にまとめよう。
(6−29−2020)


攻防同態@八王子中屋ジム

中屋会長から、私が書いた
「攻防同態」の額を
ジムに掲げた写真が来た。

わが拙作がこのような形で
展示されるのは喜びである。
(6−20−2020)